甘い言葉に騙されて、肉体的にも精神的にも苦痛を受けたとして、騙した組織に対して慰謝料を請求する訴訟があるようです。
これだけを聞けばよくある話ですが、この組織を相手取っての訴訟は今回初めて起こされたものだということです。
その組織とは「在日本朝鮮人総連合会」いわゆる朝鮮総連です。
関連記事→ 「脱北女性、朝鮮総連を提訴へ…帰還事業で「虚偽の説明」」
簡単に言えば、北朝鮮は「地上の楽園」で生活も保障されていると言われて行ったものの事実は衣食住にも困るような惨状だったので、騙した朝鮮総連を訴えたというものです。
この訴訟の件があまり報道されていない事に疑問を感じますが、訴えられるべき組織は他にもありそうですね。
以下に興味深い(?)記事を抜粋して紹介します。
この数年の努力は平壌を始め全国を全く清潔にした。
かっての朝鮮の不潔と異臭は完全に一掃されている。
かっての農村風景は 機械化につれてどんどん変わっている。
貧しい一家が食えなくて満州や日本に流浪していく朝鮮でもない。
それどころか、日本で貧しく、肩身狭く暮らす朝鮮同胞はそっくり引き取って 生活の保障し、いっしょに働こうとしている北朝鮮だ。
昭和35年1月9日(朝日新聞)
社会主義下の温泉は相成っているか?
興味を持って東海の朱乙(シュオツ)温泉を拝見した。
山のふもと、真ん中を川が流れて、信州の渋温泉みたいなところだが、勿論旅館は一軒も無い。
全て国営だ。
客引きの番頭も、土産物屋も厚化粧の女性軍もいないから、はなはだ閑寂である。
だいいち呼び方からして、温泉ではなく「保養所」である。
職場同盟が各職場に割り当て、一年一回十二日間はタダで休養させる。
昨年中に延べ十万人が保養したそうだ。
ところで、案内してくれた朝鮮の新聞記者氏はこう言った。
「昼寝の時間は有りますがね。眠くないので本でも読んでいると、管理人の小娘どもが見回りに来て、゛いけません。今は睡眠をとるべきです。”と文句をいう。 皆慌てて本を顔に被せて眠ったフリをするんです。来た時に体重を量って、それより増えなければ帰してもらえません。しかし規則正しい生活だから皆増えますよ。」
昭和35年1月13日(朝日新聞)
北朝鮮西海岸に近い黄海製鉄所に行った時である。
労働者の主婦に会って家計簿を見せてもらおうと記者団の間で話がでた。
行き当たりばったりに一軒を選んで中を見せてもらった。
李さんという。
主人は工員で、奥さんは家にいた。家賃と米代が非常に安いので毎月貯金ができると言う。
働けば喰いッぱぐれはありませんとごく当たり前に語った。
意外だったのは次のことである。
話を聞き終わって私達が外に出ると、平凡な工員の妻であるこの奥さんは、慌てて追いかけてきた。そして次のようなことを言った。
「こんど朝鮮の同胞が故国へ帰国する事について、日本の方々が人道的見地に立って、帰国を促進して下さったのは、本当にありがたいと思います。そして、今後とも同胞の帰国が円滑に行くように念じているとお伝えください」大臣の挨拶ならともかくこういう言葉を一労働者から聞くとは思わなかった。
帰国者など来そうに無い山奥の村でも「在日同胞の帰国を熱烈に歓迎する」と、大きな横断幕がかかっていた。
ここまで一つの考えを見事に浸透させた政治力の強さについて考えさせられた。
昭和35年1月17日(朝日新聞)
帰還希望者が増えたのは、なんといっても「完全就職、生活保障」と伝えられた北朝鮮の魅力らしい。
各地の在日朝鮮人の多くは帰還実施まで、将来に希望の少ない日本の生活に愛想をつかしながらも、二度と戻れぬ日本を去って”未知の故国”へ渡るフンギリを付けかねていたらしい。
ところが、第一船で帰った人たちに対する歓迎ぶりや、完備した受け入れ態勢、目覚ましい復興ぶり、などが報道され、さらに「明るい毎日の生活」を伝える帰還者たちの手紙が届いたため、帰還へ踏みきったようだ 。
昭和35年2月26日(朝日新聞)
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